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罪と罰(上)
人殺しを正当化できるかという大問題を扱ったロシア文学の最高峰。社会の中で価値のある人間が生き残るために、価値がないとされている人の命を奪ってもよいのか。正義・自由という大義名分のために罪もない人を殺戮する戦争を続けてやまない現代の世情と通じるものがある。人の命は平等か?自分の侵した罪は、自分が社会的に有用な人間となることで償われるのか?法律家としても読んでおきたい本だと思う。最初はとっつきにくいがはまると抜け出せない。 時間をかけてゆっくり読みたい本である。
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理由
言わずと知れたミステリー作家の作品。民法が改正され短期賃貸借契約が抵当権に無制限に対抗できることはなくなった。昔の占有屋(もちろん今もいるけど)がらみのトラブルを巧妙に描いている。多重債務に陥るからくりや買取屋(換金のためにローンで商品を買うようにそそのかす人)の被害にあってしまう人の心理状態がわかるかもしれない。 殺された人がだれだかわからない、そんなミステリアスなシナリオを見事に法律の問題点を絡めて描いている。執筆する際に弁護士に取材を重ねたという話もうなずける。
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家栽の人 全15巻 毛利甚八/作 魚戸おさむ/画
ドラマ化もされた人気漫画。裁判官の中にも愛読者がいるという。かく言う僕もこの桑田判事にあこがれて法律の勉強を始めた一人だ。特に家事事件、離婚問題、相続等が多いが、刑事事件の手続きも一通り触れることができる。どろどろとした争いをさわやかに解決する、魔法使いのような桑田判事にあこがれる人は多いのではないだろうか。特に受験生に読んでもらいたい本だ。読み終わったあとにはガーデニングがしたくなる、ほのぼのした物語。
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事件改版
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大岡昇平 「事件」
大岡昇平 「事件」事件としたら小さな事件。どこにでもよくあるような事件だったのだが、裁判が進むにつれて新事実が発見され真実がわからなくなっていく。内容はどこにでもありそうな気がするが、この本の売りはリアルさ。裁判でのやり取りは、下手にドラマ化していなくて、よりリアルになっている。この本を読めば、刑事事件の手続きの流れがよくわかるようになるかもしれない。 同時に、尋問技術の難しさ、人の記憶のあいまいさなど、人が人を裁く難しさも感じ取れる。面白くてためになる小説である。
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